!戦いで人は成長する!
その結果、打たれ強い体になったのだろう。

「手加減をしてると後に響く。」
と、思った僕は練習で硬い竹に一撃でヒビを入れた事のある“集点撃”と言う標的の中点を見定め、拳で素早く打つ攻撃をMのみぞおちへ打ち込んだ。
すると、案の定Mはお腹を押さえて両膝を付き、
『さすがです。参りました。』
そう言ってゆっくり立ち上がり、Hと入れ替わった。

とうとう9人目に突入した。

Hは礼をし終わると、
『教官っ!手加減は無しでお願いします。鬼でも悪魔でも叩きのめしてやりますよ。』
挑発としか取れない事を言い、ニヤリと完璧ナメきった表情を浮かべてきた。
僕は生意気な態度に怒りが満ち、
『心配せんくてもテメェには手加減しねぇ。言ったからには覚悟しろよ。』
と、自分で気付かない内に声のトーンが下がっており、ブチギレの時に起こる相手しか見えない状態になっていた。
周りからは微かに、
『覚醒してもたで。』
などと口々にぼやいている。
しかし、ほとんど耳に入っておらず、試合が始まった。
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