!戦いで人は成長する!
玄関で一人一人最後の別れを告げた。
もちろん、館長にも。
誰一人泣いてない奴はおらず、みんなの暖かい優しさに見送られ道場を去った…つもりだったが、玄関から5歩ぐらい歩いた時に足を挫いて(くじいて)派手に転び、リュックのチャックの閉め忘れていた所からいつも持っている懐中電灯が後頭部に勢いよく当たってきた。
振り返ると、みんながこっちを見て笑っている。
恥ずかしい気持ちで一杯の中うつむいていると、一人がこっちに向かって走ってきてる音がした。
振り向くと、Rがいた。
『下まで荷物持ってあげる。』
と、言って背中からリュックを取り上げた。
幼い弟を姉がかまってあげている場面が頭に浮かんだ。

『はいっ!』
二人で下山し、Rから荷物を渡された。
『わざわざすまんな。ありがとう。』
礼を言って荷物を受け取り背中に背負った。
リュックを背負い終わるとRが、
『ちょっと渡したい物あるから目つむって。』
と、言ってきた。
僕は何かなぁ~と想像を膨らます。
様々な食い物を頭中で駆け巡らせていると、唇に暖かく柔らかい物がソフトに押しつけられている。
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