!戦いで人は成長する!
それからSさんは徐々に気が強くなっていった。まだ、RさんやYさんほどではないが。
ある日、練習が終わるとRさんが近寄ってきて、
『話があるからちょっと来て?』
と、強引に手を引っ張り、外に連れ出された。
『なんやねん!』
僕は少しムッとしながら言った。
Rさんは突然、僕に抱き付き、
『ウチ、前からずっと教官が好きやってん。だから、練習終わったらからかいに行っててん。でも、この前、YちゃんもSちゃんも教官が好きって言ってたから独り占めしたくなってん。ウチと付き合って?』
と、告白してきた。
その時の僕は付き合った経験がなく、「付き合う」という意味さえ分かってなかった。だから、僕は、
『気持ちは嬉しいし、みんな好きだけど、仲間としての好きやねん。ごめんな。』
と、断った。
Rさんは涙を流したが笑顔を作り、
『そうやんね、話聞いてくれてありがとう。』
そう言い残して道場に帰って行った。
着替え終っていつも通りみんなで一緒に下山し、無事、歩道に出たので解散した。
僕は1人でトボトボ帰っていたら後ろから強い衝撃がドーンっと襲ってきた。
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