！戦いで人は成長する！

何ごとやと思い、空手着などが入ってるリュックを放りなげ、声の聞こえた所に向かって全速力で走って行った。
すると、Yが田んぼの横のちっこい溝に足を取られ、コケていた。
僕は必死だったから、『大丈夫か？つかまれ！』
と、手を差し伸べた。Yは僕の手を握ると、不安定な状態の僕の近い方の足を踏み、手を思いっきり引っ張ってきた。
『なっ！』
と、情けない声を出しながらYの上にコケた。その拍子に溝の角でスネを強打してしまった。
そんなことはお構いなしに、Yはすかさず溝に足を突っ込んだまま、僕に抱き付いてきた。
そこにたまたま通り掛かったどっかのじいさんが僕らを見て、
『若いの～』
と、笑いながら言ってきた。
恥ずかしくなったので力ずくでも立ってやろうとし、地面に手を付き、力を込めて腕を伸ばした。
すると、Yは必死にしがみついてきて放さない。
『なんやねん！今すぐ放して帰ったら一回だけハグしちゃるゎ！』と、言うと、Yはとっさに手を放した。
僕はその隙に立ち上がり、帰ろうとした。