!戦いで人は成長する!
パッとYを見ると、とっさに手を放したから背中を打ち、痛そうにしてる。
『もうっ!なんやねん!』
と、苛立ちながらYに寄ると、静かに泣いていた。
『ごめん、ごめん。全然怒っとらんから家に帰ろなっ!』
と、優しく声をかけた。
するとYはボソッと言った。
『ちゃうねん。先生が声を聞いて、駆け付けてくれた事が嬉しかってん。』
僕はすぐに、
『今更カィ!それにいつの間にか「教官」から「先生」に変わっとるしっ!』
と、突っ込んだ。
それを聞いて笑顔を取り戻し、手を伸ばしてきた。
『今度引っ張ったらほって帰るからな!』
と、注意し、立たそうとした。
すると、かなり痛そうにし、フラフラっと田んぼに落ちかけた。
僕はヤバいと判断し、慌てて彼女を抱き寄せ、アスファルトの上まで持ちあげた。
ゆっくり降ろすとやっぱり苦痛の表情をみせた。
『どっか痛むんか?』と、聞くと、
『いや、大丈夫!大丈夫!』
と、言いながら帰ろうとした。
右足を引きずりながら。
僕は見ておれず、彼女の前に出てしゃがんだ。
『早くしてくれ。荷物を道に置いて来てもたのを思い出したから。』
そう言うと、彼女は、『ありがとう。』
と、小声で言って背中に乗った。
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