!戦いで人は成長する!
その帰り道、僕はYと過ごした時間を思い出した。
練習が終わったらすぐ、ちょっかいを出してきた事。
勇気を出して告白してくれた事。
足を怪我して部屋まで運んだ事。
山で遭難した事など、大きいものから小さいものまで思い出していた。

ばぁちゃん家に帰り、お風呂に入って、パジャマに着替えると、庭でアイスキャンデーを食べながらぼんやりしていた。

何故かYの事ばかり考えてしまっていた。
『明日、行っちゃうんやなぁ。』
『もう、会えへんのかぁ。』
などと呟いていると、Yの笑ってる顔や、泣いている顔などが浮かんできた。

人はいつか別れる事になるが、今まで仲良くしていた友達が急に引っ越し、時が経つにつれ、徐々に仲間意識が薄れていく事が嫌だった。

それから僕は、最後に贈る言葉を考えながら布団に入った。

次の朝。
僕は身支度(みじたく)をし、Yの家の前へと走った。
着いてみると、既に道場のみんなが集まっていた。
家の前にはタクシーが停まっており、Yがタクシーの前で泣きながら、
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