狂おしい程君を愛してるー月下美人ー
あたしはいつしか
佐藤さんがお父さん
みたいな感覚に陥っていたのかもしれない。
あたしの本当の父親は
物心つくまえにいなくなっちゃったから、お父さん、っていうのがどんなものか分からずに
本で読んだり、テレビで見るような‘お父さん’を
佐藤さんに重ねていた。
優しくて、心配してくれて、
お小遣をくれる。
普通
お父さんと寝たりはしないけど。
そんな佐藤さんを
あたしはお客の中で
唯一慕っていて、心を許していて、大事に思っていた。