運命~誰がために~
「おかえりなさい………って永倉さん、なんですかそれは。」


「今日の門番は斉藤か。これか?んーー………拾った。」


聞かれて彼、永倉新八はあっけらかんと答えた。門番をしていた斉藤一は呆れたように溜め息を付いた。


「拾ったって……それ、女じゃないですか。ここは女人禁制ですよ?」


「そんなことは知っている。しかし手負いの民間人を放って置いたとなれば、また世論がうるさいだろう。」


「うーん………まぁ仕方ないですね。一晩だけ、屯所に置けばいいでしょう。目が覚めれば勝手に出て行くでしょうし。」



「それがどうやらこの娘、うちに用があるみたいなんだ。さっきからひっきりなしに新選組と呟いているんだよ。」


それを聞いて斉藤は不思議そうな顔をした。

「誰かの身内ですかね?とりあえず局長呼んで来るんで永倉さんはその女寝かしといてください。」


「言われなくてもそうするよ。」


彼女を担ぎ直すと永倉は屯所の自室へと向かって行った。
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