運命~誰がために~
門を抜けると永倉は真直ぐ自室に向かった。他の隊士はもう眠っているのか、まだ見回りから帰って来ていないのか屯所は静かだった。いずれにせよ、誰にも会わないに越したことはない。
この女人禁制の屯所に女がいるとわかれば大変な騒ぎになってしまう。なによりこの娘の身が危ない。


簡素な襖を片手で開けると永倉はひとまず娘を畳に寝かせた。


真っ暗な部屋。永倉は手探りで灯を探し、火を付けた。部屋の隅に重ねてある布団を敷きそこに娘を寝かそうとした。


ごと。


「……ん?」


何かが彼女の懐から落ちて来た。
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