平安なあいつ、
「私から詳しく説明致します。
まずはじめに
私たちはあなたをからかっているのではないということを断言します。
そしてこれから言うことは
すべて事実だということをご理解ください。」
よろしいですね?
男性は私の不安そうな顔から、
なるべく丁寧に話を進めようとしてくれているらしい。
紳士的な態度に安心して小さく頷いた。
「私は夢現(ムゲン)株式会社の者です。
小山とお呼びください。」
名刺を受け取った
「えと、新山春子です。」
おずおずと自己紹介。
「私は未来からきました。」
まるで明日は雨降るみたいだよ
と天気を告げるかのように自然に、
なんの抵抗もなく小山さんはさらっとそう言った。
私はなんと言っていいかわからず、
結局何も言なかった。
「私がいた未来には、タイムマシーンのようなものが存在します。
私はそれを使ってここに来ました。
そしてこちら彼女は、過去から来ました。
平安の世に生まれた依子さまです。
私がこの時代に連れてきたのです。
ところで、あなたがたから見て、彼女の容姿は魅力的に見えますよね。
」
突然の質問に驚きながらも答える。
「もちろんです。
こんな美しい方、初めてみました。」
依子さんが寂しそうに笑う
「ですが、平安の世ではそうではないのです。
彼女の容姿は酷く醜いものだと思われています。
」
私は驚きのあまり声がでなかった。