平安なあいつ、

依子という女





依子は貴族の家柄である。

母は絶世の美女の呼び声高く、父は顔立ちこそ良いほうではないが天皇に重宝される有能な男らしかった。
依子の身分は当然だが非常に高い。
だからしばしば親が結婚の話が出すのだが、垣間見によって依子の評判は広まっているらしく、なかなか応じる者がいない。

それは異常だった。
依子のほどの身分でこの年齢まで結婚をしていないというのは通常あり得ないことだった。






依子はその大きな瞳が嫌いだった。
高い鼻が嫌。
細く繊細な体がイヤ。

もう全部、嫌いだ。



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