気まぐれ社長の犬
従順な犬たちはただ主の為に

嵐はそう、突然やってきた。



その日私達は会社で何時ものように仕事をしていて、私もパソコンに向かって仕事をしていた時だった。



「響城ー!!」



突然扉が勢いよく開いて、可愛い女の子が驚いて立ち上がった響城さんに抱きついた。


誰?あれ?


「会いたかった…久しぶり」


「麗美(レミ)、放せ」


響城さんはその女性の体を冷たく放した。


「何よもう、別に婚約者なんだからいいじゃない」



婚約者!?
その言葉に体が動かなくなった。

これが前に言ってた婚約者…



「お前とはもう婚約破棄したはずだ。だからもう婚約者じゃない」


「あたしはそんなの認めてないわ!どうしてあたしがフランスに行ってる間に勝手に婚約破棄なんてしたのよ!」



酷いじゃない、と麗美さんは響城さんのスーツの裾を掴んだ。



「お前とは親が勝手に決めた婚約だったし政略てきなもんだっただろ。それに俺、今は本当に好きな人がいるんだ」


「なっ、誰!?」



響城さんが私の元に歩いて来て、私を立ち上がらせた。



「こいつだ。花月妃和、俺が決めた婚約者だ」



きちんと他人に紹介された事はあまりなかったし、真剣に、ちゃんと説明してくれた事がすごく嬉しかった。



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