気まぐれ社長の犬

次の日から、激しい私への攻撃が始まった。


最初は響城さんと会社の前で車から出てきた時だった。

殺気を感じて辺りを見回すと近くのビルの屋上から銃を持った男が私を狙っていた。


この角度…響城さんじゃなくて私を狙ってる…?

私はスコープごしに男を睨みつけると、男は驚いて構えるのを止め、姿を消した。


どうしてあの人は私を?



「どうした?」



少し離れた場所にいた響城さんがこちらを振り向く。



「いえ、何も」



私は疑問を残しながらも会社の中へと入って行った。


そして日も傾き、帰る時間になった。



「妃和、帰るぞ」


「申し訳ありません。私まだ少しやる事が残っているので先に帰っていただけますか?」



「そうか。なるべく早く帰れよ」



「はい」



私はその場で響城さんを見送ると少し時間を置いてから会社を出た。





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