気まぐれ社長の犬
朝目が覚めるとすぐ近くに妃和の寝顔が映る。
長い睫毛に綺麗な肌…本当に綺麗な女だと見惚れてしまう。
髪を撫でるとさらりと指の隙間を滑る。
細くてさらさらの長い髪。
頭を撫でていると妃和の表情がぴくりと動いた。
「んっ…んー…響城さ、ん?」
「おはよ」
ゆっくりと目を開ける妃和を見つめる。
まだ寝ぼけて目を擦る妃和が可愛くて、抱きしめたくなった。
「おはようございます…あれ、昨日私…?」
「潰れたからベッドに運んだ。可愛かったなー昨日。いつものお前とは全然違ってさ」
笑って言うと妃和の表情が驚きに変わった。
だけどすぐに少し不満そうな顔に変わる。
「負けてしまいましたか…運ばせてしまってすみません」
「俺が潰したからな。構わねえよ」
「…でも響城さん。いつもの私が可愛くないみたいな言い方はちょっとひどいんじゃないですかー?」
不満そうにシャツを掴む妃和が可愛すぎて、軽く膨らませた頬を引っ張った。
顔が横に伸びて、変な顔で戸惑う妃和に俺は笑い出した。
「ちょ、ひひきはん、はなひてくだひゃい!」
可愛い言葉を放つ妃和が可愛くて、笑いが止まらない。
本当こいつは…たまに可愛いことするから困るんだよなー。
なんて思いながらも、頬を離してやった。