気まぐれ社長の犬
「もう!何するんですか!」
「いつもお前は可愛いっていうか綺麗だからな。こうやって可愛いことする妃和は貴重なんだよ」
「今のの何が可愛かったのかはよくわかりませんが…お酒は人を素直にさせると言いますからね。昨日の記憶が途中から無いのが不安ですが」
妃和は引っ張られた頬を撫でながら言う。
呼び捨てで甘えていた昨日のことを話したらどんな反応すんのかなー。
きっとそうとうびっくりして焦るんだろうな。
想像すると、つい頬が緩んでしまった。
「どうしたんですか?」
「いや、昨日のことを思い出してな。可愛かったんだぞ?響城〜って甘えながら俺の上に座って抱きついてくるお前」
「なっそんなこと…!」
顔を赤くして否定する妃和を抱きしめる。
「覚えてなくても俺は覚えてる。忘れてやんねーよ。でも…散々愛してるって言ってやったの覚えてないのはちょっと残念だけどな」
「〜っ…すみません…。私は…普段からもっと素直になった方が…その…可愛いのでしょうか?」
珍しくしおらしい妃和の顔を覗くと、恥ずかしそうに俺の胸に顔をくっつけていた。
くっそ…可愛すぎるだろうが!!
早くなる心臓の音が聞かれそうな気がして恥ずかしくなるが、その頭を撫でてやった。
「いつも強くて綺麗な女がこうやってたまに可愛い姿見せるからいいんだろ。お前は十分可愛いよ」
「っ…ありがとうございます」
「まあ、素直に越したことはないけどな」
こいつはいつも強がってばっかりだから。
俺を頼ったり甘えたりして欲しいんだよ本当は。
強いお前だけじゃなく、弱いお前も見せてくれ。
お前の全部を知りたいんだーーー