気まぐれ社長の犬
「あなたなら大丈夫ですよ。他の人にはないモノを持っていますから。あなたの仕事はあなたにしかできないものです。だから私が守るんです」
「妃和…」
響城さんが少しだけ、抱きしめる腕を強めた。
ゆっくりと背中を撫でていると響城さんの体からどんどん力が抜けていく。
眠くなったのかな?
「響城さん、もう寝ますか?」
「ん…明日、全部やる」
「今日はお疲れのようですし…明日の朝少し早く起こしますから、ベッドに行きましょう」
ほとんど力が抜けて私に体重をかけてくる響城さんをなんとかベッドまで運んで体を離そうとするけど響城さんは抱きしめる腕を離してくれない。
「響城さん、離してください」
「やだ。お前もここで寝ろよ」
「ええっ!?いえ、私も早く起きなきゃいけませんしお風呂も入らなければいけませんから」
「朝俺と入れば?」
寝ぼけているのかよくわからないけど目をつぶったままの響城さんは私の腰にまわした手を離してくれそうにない。
しょうがない…響城さんがぐっすり寝た後で離れるか。