気まぐれ社長の犬
「ちょっお前、知り合いなら知り合いって言っとけよ!!びっくりしただろ」
「ああすみません。聞かれなかったもので」
「普通言うだろ!!」
「あなたの常識なんて知りませんよ。それより、これで梅原さんは終わりですね」
「そうだな。でも北条組は何をするんだろ」
「さあ…わかりませんけどあの人は敵にすると恐いですからね。明日の新聞を楽しみにしましょう」
「…こえー女」
私はルンルンと階段を下り、麻生さんの車に戻った。
「お疲れさまです。妃和様、ご機嫌ですね」
「はい…ちょっと昔の知り合いに会いまして」
「そうですか。それはよかったですね」
「はい」
隣を見ると響城さんは苦笑いでこっちを見てる。
「じゃあ会社に行きましょうか」
「ああ……」
麻生さんはそれを聞いて車を走らせた。
次の朝、響城さんが見ている新聞が一瞬目に入った。
そこには“梅原貿易会社の梅原社長行方不明”と書かれていた。
北条さんやることが早いなー。
梅原さんも今ごろはどこかで働かされてるかもしかして海の底…かな?
ふふっ生きてればいいけど。
私は普通の人なら全く見えないぼやけた眼鏡をかけて、口紅を塗った。
「妃和ー行くぞ」
「今行きます」
私は響城さんの鞄を持って車に乗り込んだ。