気まぐれ社長の犬
「てめえ何でそんなこと知ってんだよ」
「そりゃここに来る前に少しは資料見させていただきましたから。女性の扱いも酷いものですねー。今まで何人と関係を…」
そこまで言った時、私は胸ぐらを掴まれた。
「うっせぇな。てめえに関係ねえだろ?殴られたくなかったらさっさと出ていけ」
「…フッなにそれ脅しですか?」
私は響城さんの手を掴んだ。
私にはもう帰る場所なんてない。
だから、そう簡単に出ていくわけにはいかないんだ。
「私は出て行きません。殴るならどうぞ?」
あたしが笑顔でそう言うと響城さんは一度舌打ちをして手を離した。
「勝手にしろ。でも大怪我しても俺は知らねえから」
そう言って響城さんは部屋を出て行った。
へー結局手を出さないなんて意外と優しいんだー。
私が扉の方を見ていると今まで黙っていたお父様が口を開いた。
「ごめんね妃和ちゃん。大丈夫?あいつ気が短くてわがままだからさ」
「大丈夫です。でもいいんですか?嫌がってるみたいですけど」
「まあそこは妃和ちゃんの力でなんとか納得させて?どんな方法でもいいからさ」
「…わかりました」
「じゃあ隣が妃和ちゃんの部屋だから、行こうか。荷物も整理しなきゃいけないしね」
そう言われて私たちは部屋を出た。