気まぐれ社長の犬
「どうせならそのテニスの大会の日がいいですね。いつですか?」
「…来週の月曜日」
「わかりました。じゃあ来週の月曜日、また来ます」
「でも本当にいいの?あんた響城君の婚約者なんでしょ?怒られちゃうよ」
「別にいいですよ。それに私、一度希望を持たせていざその時がきた時やっぱり無理、なんていう残酷な大人でもなければ、周りの人や体のことを考える優しい人でもありません…残念ながらね。だから遠慮しないでください」
「ふーん…変わった大人だね。まあいいや。じゃあ奏女遠慮しないから、あんたもしないでよ」
「え?」
「敬語とさん付け、しなくていいから。年上でしょ」
「わかった。じゃあ奏女ちゃん、来週の月曜日まで頑張って生きててね?」
私がにっこりと微笑むと奏女ちゃんは驚いて私を見る。
「あんた性格悪!!美人は性格悪いって本当だったんだ」
「あら、あなたも私ほどじゃないけど可愛いよ?」
「うるさいわ!!こんな性格悪いやつに響城君あげるなんてなんか悔しい」
「じゃあ偽善者でブスな女ならいいの?」
「全力で反対する!!」
「でしょー?なら私でよかったじゃない」
「うーん…まあね」
「なら文句言わずに来週の月曜日に備えてちゃんと安静にしてなさい」
「はいはい」
奏女ちゃんが布団に入った時、奏希さんと響城さんが部屋に入って来た。
よく見ると奏希さんの目は腫れている。