気まぐれ社長の犬

奏希さんを見ていると、本当に申し訳なく思えてくる。



「奏希さん、本当にすみませんでした」


「まあ今回は何もなかったことだしね、許してあげる」


「えっ!?」


「奏女も楽しんだんだろうし妃和ちゃんの悲しそうな顔見てたらなんか怒れなくなっちゃった。俺女の子に弱いからさ」



奏希さんはいつもふざけてて嫌いなタイプだと思ってた。

でも響城さんが言う通り、いい人なんだ。



「ありがとうございます!!」


「あっその代わりアドこうか…」



そう言おうとした奏希さんは響城さんに頭を叩かれた。



「てめえまだ言ってんのか」


「いったー別にいいだろ。今俺かっこいい感じだったんだから黙ってろよー」



いや、今ので台無しだと思いますけどね。

でもまあ奏希さんは響城さんと仲がいいわけだし、あっても損はしないよね。



「いいですよ」


「えっ?」
「はあ!?」


「アドレス、交換しましょうか。でも私メールよりも電話派なので電話番号もいいですか?」


「ぜ、全然いいよ!!やったー」



2人で赤外線で交換している時ちらっと隣を見ると、響城さんは不満そうな顔で私たちを見ていた。



「あっ来た」


「よかったです」


「じゃあ響城さん、帰りましょうか…ってあれ!?」



隣を見るとさっきまでいたはずの響城さんがいない。

後ろを見るともう出口に向かって歩いていた。



「はやっ!!あの、じゃあ私も失礼します!!」


「うんばいばーい」



奏希さんは笑いながら私に手を振る。


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