つめたい夜とオリオン座
一年生のうちから、どことなく浮いていた。

母親から構ってもらえたのが、駅前の本屋に行って、『これがほしい』と言っても、いつも買ってもらえるのは学習ドリルで、その学習ドリルを一冊仕上げた時くらいでしかなかった。
そのせいか、もう小学生になる時には、常用漢字は全て覚えたので、祖父からは『お前は東大へ行き、農業高校卒の俺の無念を果たして、政治家か大企業の重役になりなさい。』と、将来を期待されていた。

だが、小学校という現実は、そう甘くはなかった。
例えば、自分の名前の漢字を覚えていても、それが『習っていない文字』ならば、即バッテンがつく。
毎度毎度、自分の知識と周囲の知識との格闘であった。
例えば、自分は普通に話したつもりでも『××って何?』と言われる。

そして、私は思い浮かんだ。
『そうだ、先生も馬鹿なんだ。』と。


『先生』という言葉を辞書で引いた。
今の私の観点からすれば、『教員』という言葉が妥当だと思った。
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