つめたい夜とオリオン座
ある日、貧血で倒れた。
仮病扱いなので立たねばならない。


私は、忘れ物をした。
算数の宿題である。


私は、クラスメイト達に利用されていた。
毎日忘れ物をするくせに、成績は体育以外トップだったし、何しろ、『空気が読めない』からだ。
授業が始まると、『先生、〇〇忘れました。』と私が言うのをクラスメイト達は待っている。
そして、連中の予想通り、私は確かにその時には『先生、〇〇忘れました。』と言うのだ。


私は、毎回、怒鳴られる度に貧血になっていた。
視界が、ブラウン管の砂嵐のようになり、徐々に真っ白になっていく。
三半規管は崩壊し、まっすぐ立っていることなど出来ず、真っ白な中で倒れていく。

だが、誰もが仮病だと嘲笑う。
< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop