ワンダフルエラー
十夜の、薄茶の瞳があたしを映してゆらりと揺れた。先程までの凍りつくような瞳はもうどこにもない。
「なんでって。だから十夜はあんなに怒ってたんでしょ?」
「サラ、」
「十夜、大事にしてたよね。居心地のいい、親友って関係。なのに、わたしがあんたのこと好きになっちゃったから…全部おしまいでしょ」
あんなに分厚く空を覆っていた雲が流れて、その隙間から現れた月がわたしと十夜を照らす。
「…おしまいなわけ、ない」
十夜の声が静寂に溶けた。
ゆっくりと十夜がわたしを抱き起こした。
制服のブレザーを脱いで、わたしの肌蹴たブラウスを隠すようにそっと掛ける。