ワンダフルエラー
ばしんと、一発十夜を平手打ちした。
掌がジンジンと痛む。十夜は、突然引っ叩かれたのに何も言わず、視線を地面へと落としている。
「そんな勘違いで、こんなことしたってわけ?」
「…ごめん。ほんと、謝ってもすまないけど…」
「なんでよ、十夜は…、鬱陶しくなったんでしょ。わたしがわたし達の関係を崩したのがムカついたんじゃないの!?」
今度こそ不思議そうな顔をして、十夜がわたしを見つめた。
「それこそ、なんでだよ。どうしてサラのこと鬱陶しがらなきゃならねんだよ。わけわからない」
「……、いやだァああ!何が何だかわからないうちに、告白しちゃったってこと?!」
顔に一気に血が昇るのがわかる。
「…てことは、なんでわたしこんなことされそうになったわけ?」
言えば、十夜は申し訳無さそうな顔をした。
「俺…もの凄い勘違いを…」
「…今日だって、ほんとはこんな遅くまで学校にいるつもりもなかったし。ただ、英二には相談に乗って貰ってただけ」
十夜は、少し不機嫌そうな顔をする。
「なんだよ、それ!悩みごとがあるなら俺に相談してくれればよかったのに!水臭いじゃん」
「だから、あんたのことで悩んでたんだよ!ボケ!」
間抜けな顔して、へ?俺?とか呟いてる十夜。まじで蹴っ飛ばしたいんですけど。