ワンダフルエラー
「サラのこと、好きだって自覚した時、相当焦った」
ぼんやりと、空を見上げながら恥ずかしそうに十夜は言った。
そして紡がれた言葉に驚く。
だって、それはわたしも同じだったから。
「サラのことはいて当たり前の、空気みたいな存在だと思ってたし。でも、違った」
「違う?」
「いなくなると、凄い辛いことに今更気づいて。知らない振りして誤魔化そうとしたけど無理だった」
申し訳無さそうに言う十夜に、青山さんのことが頭に浮かんだ。
「謝っときなよ」
「うん…て、え?」
空気みたいな存在に、わたしも十夜をしてしまうところだった。
そんなの嫌だ。
いなくなって始めて、大切だったことに気づくなんて哀しすぎる。
気づけて、よかった。