ワンダフルエラー
殺伐ナンセンス
「ぶはっ!十夜、どうしたんだよ、その頬!」
屋上の給水塔の上は、まさに健全な学生がサボるにはもってこいの場所だ。
真っ赤に腫れた頬を理由にサボタージュを決行していた俺のところにやってきたのは、クラスメイトのサトシだった。
「引っ叩かれた」
「まじでか。もしかして、沙織先輩?」
「そう」
身体をくの字に曲げて苦しそうに笑いながら聞くサトシ。
いい加減友達辞めるぞ。
隣で笑い死にしそうなサトシを恨めしげに見る俺にようやく気づき、誤魔化すようにコホンと咳をする。
「なんで?おまえ浮気でもしたの」
「するわけねぇじゃん!お前と一緒にするな」
中学一年にして天性のプレイボーイのサトシは、俺のことをまるで宇宙人でも見るかのような目で見た。
「じゃあ、何したんだ?十夜」
「なんも」