ワンダフルエラー
「何もしないのに、引っ叩かれるわけないだろ。沙織先輩おまえにベタ惚れだったじゃねぇか。何もかも捧げてたじゃん」
なんだか嫌な言い方に自然と眉間に皺が寄る。
本当に俺は何もしてないのだ。
「…どこが好きって聞かれて、5分くらい悩み続けてたらいきなりキレて殴られた」
「…馬鹿だろ、おまえ」
「どこが?」
本気でわからなくて思わず聞き返せば、サトシは呆れ返った顔をした。
「いいんだよ、そんなのにマジで答えなくて!綺麗だとか一緒にいて癒されるとか、色々あんだろ?」
「だって少しもそんなこと思わなかったし…」
「これだからナチュラルにモテるヤツはうぜぇんだよなァ」
軽く言われたその一言に、結構深く傷つく。
「…別に、好きでそうなってるわけじゃない」
何とか弁解したかったのに、必死に絞り出した言葉はますますサトシの瞳の色を冷たくした。