ワンダフルエラー
まだ冷たさの残る風が頬を撫でる。
「…ん…、サトシ?」
いつの間にか日が暮れているのに驚いて飛び起きると、そこには誰もいない。
校庭では既に部活動が始まっていて、掛け声やら楽器の音やらがここまで響いてくる。
「…何時間寝てるんだ、俺」
起こしてくれなかったサトシに内心苛立ちながら、固まった身体をゴキゴキと鳴らした。
時間は、なんと5時を過ぎていた。
誰もいなくなったクラス。
俺の席は、窓側の一番後ろという、クラス一の特等席。
「……なんだこれ…」
そんな特等席に築き上げられた一つの山。
「いらねぇよ、こんなに」
思わず漏れた溜息。