ワンダフルエラー
「信じられない」
さっきまで失恋をして悲しげに歪めていた顔が、今や怒りに満ちていた。
今にも駆け出してサトシ達をぶん殴りそうなサラの手首をぎゅっと掴んだ。
「女顔は女らしく、男の相手でもしてりゃいいのによ。てか、サトシ仲良かったじゃん。ヤらして貰えば?」
「ははっ、今度頼んでみようか」
「まじかよ!じゃ、俺も!」
何度も何度も、サラが俺の腕を振り解こうともがく。
大粒の涙をぼろぼろと零すのが不思議だった。
「行こう、サラ」
俺は無理矢理その手を引いて、サトシ達から何百メートルも離れた場所でようやく掴んでいた腕を離した。
「なんで、」
泣きながら怒る、サラはとても器用だと思う。
「なんで止めるの!?」
「あそこで飛び出しても、サラに良いことなんて一つもない」