ワンダフルエラー

サラは謝らなかったんだろう。


「…俺、サラんとこ行ってくるわ」

「はいはい。先生には上手く言っとくから」


俺が教室を出ようとしたその時だ。


「十夜っ!おはよ!」

「うわ、なんだよ。美希か」

「なんだよって酷ーい!」


頬を大きく膨らませながら、距離を詰める。


「あれ、鞄持って…もしかしてサボり?」

「え…あぁ…」


流石に、この後サラのところへ行くなんて言える訳がない。


「ミキも一緒にサボる!」

「は?何言ってんだよ。ちゃんと授業受けろよ」

「十夜はどうなのー」


ストレートに慕ってくれるところが好きだと思って、付き合い始めたばかりの彼女。


「俺はー…」


良い言葉が見つからなくて、宙を彷徨う視線。

美希は訝しげな目で俺を見てくる。
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