ワンダフルエラー
「ちょっとミキ!」
すかさず真帆の助け船が入る。
「十夜、具合が悪いから帰るのよ。サボりじゃないの。帰してあげな」
「え…!十夜、大丈夫?」
黒目がちな瞳を大きく開いて、俺の顔を覗きこむ。
なんだか嘘を吐いてしまうことが申し訳なくて、俺は小さく「ごめん」と呟いた。
「謝る事じゃないじゃん。ごめんね、気づかなくて」
「ミキ、さんきゅ」
こういう時、湧きあがる彼女への気持ち。
サラとはまた違う感情。
小さく手を振る彼女を一度だけ振り返って、教室を後にした。
「…サラのやつ…」
小さく舌打ちする。
中学で実家を出たサラは、学校の敷地内にある女子寮に住んでいる。
さすがに侵入するわけにはいかないので、携帯の電話からサラの電話番号を呼び出した。