ワンダフルエラー

「ちょっとミキ!」


すかさず真帆の助け船が入る。


「十夜、具合が悪いから帰るのよ。サボりじゃないの。帰してあげな」

「え…!十夜、大丈夫?」


黒目がちな瞳を大きく開いて、俺の顔を覗きこむ。

なんだか嘘を吐いてしまうことが申し訳なくて、俺は小さく「ごめん」と呟いた。


「謝る事じゃないじゃん。ごめんね、気づかなくて」

「ミキ、さんきゅ」


こういう時、湧きあがる彼女への気持ち。

サラとはまた違う感情。


小さく手を振る彼女を一度だけ振り返って、教室を後にした。


「…サラのやつ…」


小さく舌打ちする。

中学で実家を出たサラは、学校の敷地内にある女子寮に住んでいる。

さすがに侵入するわけにはいかないので、携帯の電話からサラの電話番号を呼び出した。

< 129 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop