ワンダフルエラー

「もー…」


サラは照れを隠すように、わざと不機嫌そうな表情をつくる。


「十夜、仲直りしよ」


出会った時と同じ、サラは白くて細い手を俺に伸ばす。

今度は戸惑いなくその手をとった。


誤解をしても、喧嘩をしても、変わらないままでいられる友達。

俺の隣に、同じ様に戻って来てくれたのがとても嬉しかった。


サラがどこかで誰かと付き合って、キスしようがセックスしようが俺は一向に構わない。

きっとサラも同じだ。


俺が授業をサボって彼女とデートしてたって気にもしないはずだ。


けれど、彼女は紛れもなく他の人間とは違うのだ。


恋をしないかわりに変わりもしないこの関係が、俺が一番求めていたものなのだと、


確かめるようにその手を握りしめた。
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