ワンダフルエラー
俺が眉間に皺を寄せていることなんて、サラは気づかない。
ピンク色のオーラを発しながら、
「それじゃ、また後でね」
と言って寒くて自然と歩みの遅い俺を、軽快な足取りでぬかしていった。
朝から微妙な気持ちにさせられる。
こういう日は、なぜだか大抵ツイてないものなのだ。
一日の終わりに、必ず生徒会室に立ち寄るのは日課だった。
けれど、今日は生徒会の仕事なんてやる気にもなれないし、久しぶりに町をぶらぶらすることに決めた。
確か、沙耶香も仕事が休みだったことを思い出して電話を掛けた。
数回のコールの後に、「もしもし」と少し高い沙耶香の声が聞こえた。
「もしもし、沙耶香?」
「え…!十夜?どうしたの、こんな時間に珍しいね。生徒会は?」
少し戸惑ったような声音に、首を傾げる。
「今日は、なし。サヤ、今から空いてる?」