ワンダフルエラー
俺が示す反応を、今か今かと待ちわびるサトシ。
くだらない企みばかりをするサトシにも、浮気がバレて動揺している沙耶香にも、怒るどころか、かけたいと思う言葉すら見当たらない。
「浮気だろ?」
「と、十夜だって、いつも生徒会の女の子と一緒にいるじゃない!」
もしかしなくても、サラのことを言ってるんだよな。
声は震えているのに、その手はしっかりと俺のシャツを握り締めた。決して離さない、そんな気合みたいなものがそこから感じられて、ゾッとする。
通行人が、不躾な視線を俺達に注ぐ。
「いいよ、サトシと付き合えよ」
「酷い!嫌だ、私、十夜がいいもん!」
そんな沙耶香の言葉に敏感に反応したのは、サトシだ。
「は?なんだよ、それ!」
沙耶香が、怒鳴るサトシから隠れるように、俺の背中に回り込む。
俺の前と後ろでギャーギャー言い合いを始めたサトシと沙耶香。
…俺にどうしろと?