ワンダフルエラー


「…た、隆志君」

「ごめんね。またせちゃった」


隆志は、明らかに怒っていた。そりゃ、彼女が自分以外の男と楽しそうに話してれば、嫉妬するに決まってる。

いくら中学から親友だから、と言っても通じるわけもない。気まずくなって、ちらりとサラと隆志を見比べる。



「入江君、だよね。生徒会の」

「あ。ああ…、ちょっと仕事があってさ、教室戻ったらちょうどサラがいたから、…ごめんな」



サラから、耳タコになるくらい隆志の話を聞いてるので、勝手に知った気でいたけれど、そういえば彼と話をするのは今が初めてだった。

なので、実際どういう人間なのかは知らないけど。


けれど、この様子だとどうやら随分嫉妬深いように見える。これ以上サラの立場を悪くするのも申し訳ないから、口は出さない。
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