ワンダフルエラー
「…サラ、大丈夫かな」
シンと静まり返った教室に、自分の声が響いた。
とりあえず、サラの文字を真似て、書き途中の日誌を埋め、職員室へと持っていく。幸い担任はいなかったので、デスクに置いて校舎をあとにした。
少しずつ灯りはじめた外灯に、夜道が橙色に染められている。
もうすぐ冬だなぁ、なんて感慨に耽ってみたときだった。
ポケットに入れていた携帯が、鈍く振動する。慌てて手に取れば、それはサラからの着信だった。
「もしもし、サラ!?」
『…っ』
「…おい、サラ、どうした?」
泣いているのか、声が小さく震えているのに、思わずぎゅっと携帯を握り締める。さっきの様子であれば、隆志が何か酷いことでも言ったのか。