ワンダフルエラー

「日、落ちるの早くなったよな」


シン、と静まり返った空間に、自分の声がやけに良く響いた。

いつも常備されている煎餅の代わりに英二が買ってきた甘いクッキーを齧っていたサラが、ゆっくりとこちらを振り向く。

甘い物が苦手なのか、その表情が小さく歪んでいた。

だったら食べなきゃいいのに。


「もう11月も終わるしね」


太陽はいつの間にか沈んでいて、代わりに丸い月が浮かんでいた。


「うわ、今日は星が綺麗に見えるね」

「あー…、そだな」


ぼんやりとそう言えば、サラは不機嫌そうな顔をして俺の手を引いた。


「屋上行こ?一緒に天体観測しよ」

「は?やだよ、寒いし」

「いいから!」


キッと睨みあげるサラに、反射的に首を縦に振ってしまった。

サラのたまに見せる迫力は、結構怖い。伊達に生徒会長はやっていないんだと思わされる。

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