ワンダフルエラー
「…んー」
そっと腰をかがめて、そのまま俺の顔を唸りながらサラが見つめるくる。
「な、なんだよ…怖いって、サラ」
俺の言葉なんて無視するように、サラはただ俺をじっと見ている。
そして、
「いただき!」
「は?」
近い距離にいたサラは、俺の肩に手を回して、さらに距離をつめて、
……、
「おい!」
ぺろりと舌を出して、俺から離れた。唇に触れたモノ。そうだ、今のは、もしかしなくても…キス。
勢いよく突っ込んだ俺に、サラは悪びれもせず、
「や、ごめんごめん。あんまり綺麗だから、ここでチュー位しとかなきゃ勿体無いかなあ、なんて」
とかなんとか言いやがった!
「…おまえって、昔からそういうやつだよな」
呆れた様に言う俺にサラはニッと笑うと、今度こそ給水塔から飛び降りて、綺麗に着地をした。
「でも、こんなわたしと一緒にいてくれる十夜に、いつも感謝してる。それじゃあ、また明日ね」
そう言って軽い足取りで去っていくサラの背中を見て、思わず深い溜息が零れた。