ワンダフルエラー
「…なにが綺麗だよ…」
好き勝手なこと言いやがって。
口元に手をやって、顔を膝に埋める。
心臓は、早鐘を打つようにドキドキと鳴っているし、暗闇で分からないだろうけど、きっと顔も赤いんだろう。
「なにやってんだ、俺」
俺が綺麗?ふざけんな。
あのとき、俺にキスしようとしたときの、サラの方がよっぽど綺麗だったのに。
ああ、もう…、結局はそう言うことだ。
認めざるを得ない。
自由奔放で、気分屋で、次に何をしでかすか分かりもしない。
「…あんな女、好きになったって苦労するだけなのに…」
結局、俺が切望し、築いてきた関係に傷を付けていたのは、サトシでも沙紀でも、青山さんでもない。
俺自身だったのだ。
「…参ったなー」
倒れるように体を倒して、白い息と共にそんな言葉を漏らした。