ワンダフルエラー








「十夜君、わたし…、やっぱり諦められない…」




昼休みの校舎裏。

ここだけまるで違う世界の様に静かだった。

その日、俺は前に告白してくれた青山さんから、もう一度呼び出しを受けていた。


「…無理」

「どうして?」

「どうしても。無理なものは無理…。君じゃ駄目なんだ…」


視界が、白くぼやける。

必死に彼女が俺に何かを言っているのに、それは言葉として脳に届く事がない。


―…頭痛い…。

ここのところ、頻繁に偏頭痛に悩まされていて、睡眠もまともにとれず、なんとなく気怠るさが抜けない日が続いていた。


そっと、瞼を閉じた、その時、グッとネクタイを引かれて、青山さんの細い腕が俺の首に巻きついた。


「っ!…痛っぅ、」


ぱっと離れた青山さん。

そっと自分の唇に、手をやれば、薄く真紅が指先についた。
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