ワンダフルエラー
「…なにを…」
噛みつくようなキスをする青山さんに俺は驚いて目を瞬かせた。
一歩青山さんが近づくから、離れようとしたのに、背中にあたったのはコンクリートの校舎だった。
青山さんが、血の滲む俺の唇に吸い付く様に、何度も何度も口付けた。
なぜだかそれを払いのけることも出来ずに、されるがままの俺に、青山さんは言う。
「いいよ、付き合ってくれなくても」
「え?」
「でも、一つだけお願い」
泣きそうな声で言って、ぎゅっと両手で俺の手を握った。
「…十夜君に、シて欲しい」
「何言って」
ズキンズキンと痛む頭と、唇。それを振り切るように、小さく頭を振る。
するって、何を?なんてそんな野暮なことをこの場で言えるわけがない。
「そんなことしても、青山さんが虚しくなるだけだよ」
「べつに、彼氏でもない十夜君には関係ないでしょ」
ズキン、
頭痛は治まることなく、逆に痛みは増しているように感じる。
「天宮さんだと思って、抱いてくれていいから」