ワンダフルエラー
ゴンゴン、と強く扉が叩かれたのに、わたしと十夜はびくりと肩を揺らした。恐る恐るそちらを振り向けば、そこには口元に笑みを湛えた隆志君がジッとこちらを見つめていた。
時計を見れば、既に18時をまわっていて、ようやく部活が終わったのだと思った。
「…た、隆志君」
「ごめんね。またせちゃった」
クラスの違う隆志君は、ぐるりとわたし達の教室を見渡したあと、ゆっくり目を細めてこちらへと足を進める。
十夜が、明らかに"気まずそう"な顔をしているのがちらりと目の端に映った。
「入江君、だよね。生徒会の」
「あ。ああ…、ちょっと仕事があってさ、教室戻ったらちょうどサラがいたから、…ごめんな」
別に言い訳なんて求められてもいないのに、十夜は慌てた様子でそんなことを言う。