ワンダフルエラー
「うん、だってあれは十夜が凄く綺麗だったんだもん。チューくらいしとかないと勿体無いかと思って」
にへら、と変な笑い方をするサラを見て、俺は呆れて眉を寄せる。
「じゃあ、俺も一緒。今のサラ、すごい色っぽいもん」
そう言えば、サラは赤い顔を更に赤くして、俺のことをポカっと叩く。
「ばーか。病人に色気感じてどうすんのよ、そんなにチューしたいんだったら…」
何かを言いかけて口を噤むサラに首を傾げる。
サラはコホンコホンと、何かを誤魔化すかのように咳をした後に、玄関のドアを指差す。
「…十夜、もう帰りな」
「いやだ」
「風邪うつっちゃうよ、帰りなって」
「いーやーだー」
「駄々っ子か!」とサラはビシリと俺の方に裏手を入れながら突っ込んで、ゴホゴホと盛大にむせた。
こういう意味分からないところ、結構好きだ。
項垂れるサラを、俺は下から覗きこんだ。