ワンダフルエラー
さっき額に触れたときも、予想以上に熱が高かった。
どうやら疲れさせてしまったみたいで、俺はごめんと謝った。
「……わかってるなら、っゴホ、ゲホッ…っ、」
痰の絡んだような重そうな咳が、サラの口から漏れる。
苦しそうに、固く体を丸めるサラを黙って見ていることも出来ずに、俺はそっと手を伸ばした。
「サラ、身体起こしな」
「…、」
肩を掴んで、そっとサラが起きるのを手助けする。
背中をゆっくりとさすっていると、徐々にサラの呼吸も落ち着いてきたようだ。
手渡したお茶を、サラは美味しそうに飲み干した。
「ありがと、十夜。大分楽になったよ」
そう言って笑ってくれるのだから、ホッとした。
と、同時に、酷く複雑な感情が溢れる。
「さすが女慣れしてるだけあるよね、十夜は。扱い方が上手すぎだよ」
サラは笑いながら言った。
そんなの、いつものやりとりに含まれる、ほんの軽いジョークのようなものなのに、なぜだか、
俺の心にカチンと引っかかった。