ワンダフルエラー
ずきんと、心臓が痛む。
「もう帰りなよ」
「嫌だ」
「十夜と喋ってると寝られないんだよ」
「じゃあ、黙ってるから今日は泊まってく」
きっとこのまま帰っても、どうせまた寝ることなんて出来ない。
半ば強引に居座る俺に、ついに呆れたサラはもう何も言わなかった。
「なあ、この部屋寒くない?」
寒さで痺れる指を擦り合わせながら聞けば、なんと灯油が切れてる上に、暖房も壊れているらしい。
「十夜…、わたしちょっと寝る」
「俺、いていいの?」
そっと聞けば、サラは投げやりに「好きにしなよ」と言った。
布団を厚く被るサラを見ながら、俺も壁にもたれる。
ようやく訪れた沈黙。
久しぶりに感じる安心感は、自然と俺の瞼を重くした。