ワンダフルエラー

「…って、ちょっと!十夜、何してんの?」


サラの寝る布団の中に入ろうとする俺に、待ったをかける。


「寒いんだろ?」

「…うん」

「俺、こう見えても結構体温高いんだよ」


そう言う俺に、サラは困った顔をした。

そりゃ、いくら友達でも俺達は男と女なわけで、サラが戸惑うのも無理はない。

…けど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。

警戒するサラの頭にポンと手を置いた。


「嫌だろうけど、今晩だけ我慢しろよ。心配で見てらんない」


サラが、熱で潤んだ瞳を俺に向ける。

どうにか安心して欲しくて、俺はそっと微笑んだ。


「大丈夫、サラにだけは何もしないから」


嫌がることは、何も。


「…あったかい」

「そうだろ?」


サラが俺の胸に顔を埋めた。

腕が、俺の体に巻きついて、ひやりと冷たいサラの肌が触れる。


「あァ、でも自分でやっといてなんだけど、結構キツいな、これ」


そう言った俺に、サラは「馬鹿」と呟いて瞼を降ろした。

…結構本音なんだけど。
< 179 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop