ワンダフルエラー

無言のまま、腕を引っ張られる形で立ち上がった。


「さあ、帰ろう。更ちゃん」

「隆志君!ちょっと待って、日誌がまだ…」


そう言いかけて、思わずごくりと息を飲む。隆志君は、心の底から軽蔑するような色を瞳に映して、わたしを睨む。


「そんなの、明日の朝になんとでもなるでしょ」


隆志君にひきづられるように教室を後にするわたしを、十夜が驚いたように見つめていた。

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