ワンダフルエラー
傷跡メランコリー
あの夜から数日。
サラの体調もすっかり回復したようだった。
「よかったな」
「う、うん!十夜のお陰」
笑いながらも、どこか戸惑いを含む声音に俺は内心首を傾げる。サラの表情がここ最近、どこかぎこちなく感じるのだ。
「十夜、企画書纏まった?」
昼休み、俺は明後日ある会議のための資料を纏めるためにパソコンに向っていた。
扉を開けて入ってきたのは、真帆。
「あー…、うん、なんとか」
「ほら、これ。サラが休んでた時の分」
真帆が俺に手渡した分厚い束。ぺらぺらと捲って見れば、完璧な仕事ぶり。
「さすが真帆。グッジョブ!」
「はいはい、あんたも残り頑張りなさいよ」
そう言って、視線を窓に向ける真帆。
「あ、あれ、サラだ」
真帆の声に腰を上げて、窓から身を乗り出す。
「おーい、サラ!」
真帆が真下を歩くサラに声を掛けた。