ワンダフルエラー


一段飛ばしで、屋上の階段をのぼる。

がちゃりと扉をあけると、ねずみ色の空がどんよりと広がっていた。


「…、」


俺は、そこでうずくまるようにして座る姿を目にして、冷やりと身体が冷えるのを感じた。


「…十夜」


疑惑が、確信へと変わった瞬間。

ああ、そうか。


やっぱりそういうことなのか。


「ど…どうしたの?こんな時間に…」


サラが慌てたように俺に問いかける。

英二が戸惑っていたのは、あれはこの先にサラがいることを示していたのか。


「俺が担当してた仕事で使うUSBメモリー、パソコンに差しっ放しで帰っちゃってさ」

「仕事かァ、じゃあ一緒だ…」


あはは、と笑うサラに、俺はそっと歩み寄る。
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