ワンダフルエラー

「一緒?サラと一緒にするなよ」

「へ?」

「俺は、サラみたいに彼氏とデートしてたわけじゃないし」


駄目だ、こんなこと…。

感情に理性が追いつかない。


サラ、そんなところで呆けてないで、その足で、早く逃げて。

じゃないと、俺は…。


「…はァ?何言っちゃってんの、十夜。珍しく真面目に仕事したから少し疲れてるんじゃない」


俺は、サラを傷つけるだけじゃ済まないから。


「さっき、英二に会った」

「…あ…そうなんだ」

「一緒にいたんだろ」


戸惑いに揺れる瞳に、俺が映る。


「ていうか、勝手に彼氏にしないでよ!」


大声で否定するサラに、「違うの?つまらない」と言った。

そんなくだらない嘘に、誰が騙されるのか。


指先から、凍りつきそうだ。
< 187 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop